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治療

足関節・足部の解剖
Anatomy of the foot and ankle
大関 覚
(レイクタウン整形外科病院 名誉院長〔埼玉県越谷市〕)

 足関節と足部は,直立2足歩行に適応し発達した運動器で,下肢が生み出す力を地面に伝える機能を持っている.


1.荷重に耐え,衝撃を吸収する静的構造

(図28-1)

【1】3次元的に回旋する後足部

 足関節天蓋は,脛骨遠位部と腓骨外果で形成され,両者は前脛骨腓靱帯と後脛骨腓靱帯と骨間膜とで結合されている.距骨は,滑車の上方と内側と外側から天蓋に接しているため関節面によって高い安定性を得ている.しかし,足関節の外旋損傷で脛腓間離解が起こると,急激に安定性が失われ,関節の接触面積も激減する.距骨内側は三角靱帯深層線維が滑車後方と,外側は前距腓靱帯が滑車前縁と外果を,後距腓靱帯が距骨後方突起と外果を結合している.踵骨は内側の載距突起部が脛踵靱帯で内果と結合し,外側では踵腓靱帯で外果と結合している.前距腓靱帯の起始部は外果前方の腓骨遠位関節面の最下端の前方にあり,踵腓靱帯の起始部はその後方で,腓骨遠位関節面の最下端は鏡視下手術の重要なランドマークである.

【2】足部軸の回旋の要のChopart関節

 後足部の前方は,距舟関節と踵立方関節とがChopart関節を形成している.距骨-舟状骨-(内・中・外側)楔状骨-第1-3中足骨が形成する内側支柱と,踵骨-立方骨-第4-5中足骨が形成する外側支柱とは,距骨頚部軸を回転中心にChopart関節に沿って回内-回外の足部回旋運動を起こす.距舟関節は前方凸で踵立方関節は後方凸の形状をしており,後足部の内反⇄外反に伴って,立方骨は舟状骨の下内方⇄外側方へと回旋しながら移動し,中足部以遠を回内⇄回外させる.舟状骨は内側で内果と三角靱帯の浅層線維で連結し,背側は距骨と距舟靱帯で連結しており,底側は踵骨の載距突起前縁との間に底側踵舟靱帯(スプリング靱帯)があり,踵骨関節面,距骨下関節前方小関節,中央小関節とともに球形の距骨頭部をすっぽりと包み込むように関節する.踵骨

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