【疾患概念】
中足骨短縮症は中足骨の先天性の低形成により生じるもので,第4趾に多くみられ,しばしば両側性,対称性を示すが,多発することはまれである.
病態は外肺葉性突起先端の異常溶解に続発するものや中足骨骨端の早期閉鎖によるものと考えられ,多様な症候群に合併することもあるが多くは孤発性である.
診断のポイント
(1)第4中足骨短縮症
美容外観についての主訴がほとんどだが,第4趾の背屈転位を示す(図28-4a図)ため,まれに趾背が靴と当たると訴えることもある.
X線像では扇状の中足骨頭配列から第4中足骨頭のみが後退して短縮と判断できる(図28-4b図).
(2)第1中足骨短縮症
中足骨頭配列から第1中足骨頭が後退した結果,第2中足骨頭に荷重負荷が集中して足底痛を訴える.
(3)その他の中足骨短縮症
趾変形などの受診時に,足趾端のわずかな短縮から第2あるいは第3中足骨短縮がみつかることがある.
治療方針
【1】第4中足骨あるいはその他の中足骨短縮症
疼痛や機能障害はほとんどないが,趾の背屈転位がある場合はストレッチを指導する.
外観の問題には中足骨延長術を行い,中足骨頭配列を再建する.
手術は,かつては腸骨移植により行われていたが,現在は創外固定器を用いた骨延長術が行われるようになった.
【2】第1中足骨短縮症
第2中足骨頭痛を訴える場合にはアーチサポートを処方する.
足底に胼胝を伴うなど著しい短縮に対しては中足骨延長術を行い,中足骨頭配列を再建する.
患者説明のポイント
機能的には生活の支障にならないので,必ずしも治療を要しないことを伝える.
しかし,思春期に外観を思い悩むこともあるので,希望すれば治療が可能であることも話しておく.
なお手術には半年程度の治療期間が必要となり,創外固定による不便さを伴うことも説明する.
リハビリテーションのポイント,関連職種への指示
中足趾節(metatars
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