診療支援
治療

足根骨癒合症
Tarsal coalition
垣花 昌隆
(獨協医科大学埼玉医療センター 講師)

【疾患概念】

 足根骨癒合症は,線維性あるいは軟骨性,骨性に,中足部や後部足の骨が癒合する疾患である.発生率は1%未満で男児に多く,50~60%が両側性に発症する.原因は明らかでないが,しばしば腓骨欠損や先天性内反足に伴う.

 踵舟関節の癒合が最も多く,次に距骨下関節の癒合が多くみられるが,約10%は踵立方関節,舟・楔状関節にも発生する.

【臨床所見】

 多くは10歳前後で,足部の痛みを訴え来院する.癒合部の可動性が減少し,後足部の可動域は減少している.

 踵舟関節の癒合ではしばしば外反扁平足を呈し,腓骨筋の痙性を伴うことが多い.

 距骨下関節の癒合症では,足根管症候群を合併することもある.


問診で聞くべきこと

 関節可動域は減少していないか,捻挫の頻度,足根管症候群のような神経症状の有無などを確認しておく.


必要な検査とその所見

(1)単純X線検査

 単純X線では関節面の不明瞭化,不整像,およびC signがみられる(図28-5a).

(2)CT

 関節裂隙の不整像や骨性の突出がみられる.3D-CTは癒合部の骨性隆起がより明確に確認でき,切除部を計画するのに有用である(図28-5b).

(3)MRI

 線維性組織や隣接した関節の炎症が確認できる.


鑑別診断で想起すべき疾患

 およそ25%の患者が腓骨筋の痙性を伴うため,足関節や後足部の背外側面に痛みを訴える.感染や関節症による距骨下関節の炎症も,腓骨筋の痙性を招くことがあるため鑑別を要する.


診断のポイント

 足部痛,繰り返す捻挫などを主訴に来院した場合,本疾患も疑い検査をすることが重要である.単純X線およびCTで関節面の不整,または癒合がみられれば診断は確実である.


専門病院へのコンサルテーション

 診断に難渋する症例や,保存療法では症状が軽快せず手術を検討する場合は,足の外科手術を行える病院へ紹介することが望ましい.


治療方針

 症状を有する足根骨癒合症の初期

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?