【疾患概念】
Lisfranc関節は,中足骨と足根骨とで構成される関節(足根中足関節)である.特に第2中足骨を中心とした「ほぞ」の構造は,足部における横アーチの構成に重要なkey pointである.骨形態の安定性のみならず,Lisfranc靱帯(骨間靱帯),背側靱帯,底側靱帯など靱帯複合体が存在し,ほぞ構造の安定性に関係している.
変形性Lisfranc関節症は,同部位の関節症性変化である.
【病態】
足根中足関節の不安定性は変形や疼痛の原因となる.不安定性の原因は,内的要因として関節弛緩性と,外的要因として外傷後によるものが存在する.特に外傷後の変化として,Lisfranc関節subtle injuryは,単純X線像で第1楔状骨と第2中足骨基部にわずかな離開を呈する外傷であり,その後足部荷重を繰り返すことにより足部変形や関節症性変化が強くなる.
問診で聞くべきこと
過去に足部の外傷歴の有無を確認することは大切である.また既往歴,受傷前の活動性や疼痛がどの状態で出現するかを確認することは重要である.
必要な検査とその所見
(1)画像診断
①単純X線像:足部単純正面像,側面像,斜位像で,関節症性変化を確認する.
②CT像:単純X線像ではっきりしない場合や,詳細な変化を確認することができる.
診断のポイント
足背部に疼痛と腫脹を認める場合は,変形性Lisfranc関節症の可能性がある.
関節症性変化のため,骨棘などにより深腓骨神経領域のしびれや感覚障害をきたすこともある.また裸足では症状がない場合でも,靴により足背側より圧迫されることにより,症状を呈することがある.
治療方針
【1】保存療法
薬物療法としてNSAIDs投薬や外用薬を用いる.また装具療法として,足底板などの処方を行う.そのほか足背部の疼痛がある場合には,靴の指導を行うことも有用である.
【2】手術療法
手術療法として骨棘を切除する場