診療支援
治療

足関節果部骨折
Malleolar fractures of ankle joint
佐藤 徹
(岡山医療センター 診療部長〔岡山市北区〕)

【疾患概念】

 足関節果部骨折は多くの場合,介達外力により生じる.外力の種類,方向によって種々の骨折形態を生じるが,重要なポイントは果部骨折が関節内骨折であるということである.治療の目的は他の関節内骨折と同様に,足関節部の解剖学的整復と骨折部の安定性を獲得し,早期関節運動を行うことである.転位のない安定型骨折では保存的治療法が選択されるが,転位した骨折では観血的整復内固定法が選択される.

【病型・分類】

 Lauge-Hansen分類は受傷時の肢位,外力の方向,損傷の程度の判別が可能であり,整復位獲得のために必須である.しかしながら分類はしばしば難解で,再現性にも問題があり,必ずしも現在の治療法に適合しているとはいえない.AO/OTA分類(2018)はWeber分類をもとにしており,簡便で観血的治療法を決定するときに有用である.

AO分類

 腓骨の損傷レベルにて骨折を3型に大別する.すなわち腓骨の損傷高位によってtype A,B,Cに大別し,さらに1,2,3のgroupに分類する(図28-16).

Type A:脛腓靱帯結合部より遠位での損傷

 A1:単独損傷

 A2:内果骨折合併

 A3:後内果骨折合併

Type B:脛腓靱帯結合部での損傷

 B1:単独損傷

 B2:内側損傷(内果骨折または靱帯損傷)合併

 B3:内側損傷+後外側縁(Volkmann)骨折合併

Type C:脛腓靱帯結合部より近位部での損傷

 C1:腓骨骨幹部単純骨折

 C2:腓骨骨幹部多骨片骨折

 C3:腓骨近位部損傷(Maisonneuve骨折)

 以上のように,AO/OTA分類は外側複合体の再建を重視しており,一般的にはAからCに,1から3になるほど重症度と治療の困難さが増していくとされている.


問診で聞くべきこと

 受傷機序,疼痛部位,既往症と受傷前のADLが診断と治療方針の決定に重要である.


必要な検査とその所見

(1)単純X線

 前後,

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