診療支援
治療

糖尿病性足病変
Diabetic foot
早稲田 明生
(わせだ整形外科 院長〔東京都狛江市〕)

【疾患概念】

 糖尿病性足病変とは神経障害や末梢動脈疾患などが関与して,糖尿病患者の下肢に生じる潰瘍,感染および壊疽などの破壊性病変である.


検査

 壊死性筋膜炎を発症している場合には単純X線やCT検査においてガス貯留像が認められる.骨髄炎など骨に感染が及んでいる場合には,単純X線で骨膜反応や骨吸収像が見られることがあるが,Charcot関節との鑑別は重要である.血流はABI(ankle-brachial pressure index)検査や皮膚潅流圧もしくはCTアンギオグラフィーなどにより評価する.


治療

 糖尿病足病変の治療には,血糖管理は言うまでもなく感染の治療,デブリドマンなどの局所処置,足底挿板や靴型装具,total contact cast(TCC)などによる免荷などに加え,血行障害を認める場合には血行再建を行うなど多面的なアプローチが必要となる.

 潰瘍に感染を伴い壊疽や壊死性筋膜炎が疑われる場合には,デブリドマンや部分切断をはじめとした緊急の外科的処置が必要となる.すぐにデブリドマンを行えない場合は,感染の拡大を防ぐため,排膿ドレナージを行わなければならない.デブリドマンは壊死組織がなくなり感染徴候が消失するまで繰り返し行う.壊死部分が完全に切除されたかどうか疑わしければ,数日後に再度デブリドマンを行う.デブリドマンを繰り返し行っても感染が鎮静化せず,骨,関節が感染組織に覆われているようであれば,関節炎や骨髄炎を疑い,骨,関節の切除も考慮する必要がある.局所陰圧閉鎖療法は肉芽形成を促進させるのに有効であるが,感染が鎮静化する前に開始するとかえって感染が増悪するので注意しなければならない.このような処置と並行して好気性,嫌気性菌の培養を行い,抗菌薬の投与を開始する.


患者説明へのポイント

 糖尿病性足病変は非常に再発率が高い疾患である.再発の予防には,毎日自身で足を観察するこ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?