【疾患概念】
神経病性関節症あるいはCharcot関節症と同義語である.すなわち,末梢神経障害による知覚障害があり外傷性刺激が原因となって非感染性の破壊的過程を経て関節脱臼や関節近傍の骨折が生じる病態を有する.
【原因疾患】
糖尿病が大半であるが,糖尿病以外では外傷,感染症,脊椎疾患,神経変性疾患,ステロイド,無痛無汗症,Hansen病などによるものもある(表28-1図).
【発症頻度】
糖尿病患者の0.3~7.5%と報告されている.当施設では約1%である.
【足部・足関節での発症部位】
前足部15%,中足部70%,後足部30%である.70%は中足部(Lisfranc~Chopart関節)に生じ,神経障害性中足部関節症が進行すれば脱臼し足底に落ち込んだ立方足,楔状骨などの圧迫により足底潰瘍が発症し感染から下肢切断に到る可能性が生じる.
診断に必要な検査
問診,視診(発赤,腫脹の有無),触診(熱感,関節不安定性の有無)が重要である.単純X線像(荷重時足関節正面像,荷重時足部2R)では関節脱臼,骨折の有無をチェックして病期(表28-2図)を判定する.単純X線像で関節脱臼や骨折のない早期にはMRIにて骨髄浮腫を認めることがあり,脱臼や骨折が明らかな場合はどの骨が足底突出しているかなどの変形を把握するのに3D-CTが有用である.
問診で聞くべきこと
本人は外傷とは自覚していないことも多く,軽微なものも含めて外傷の有無,発赤,腫脹,熱感の生じた時期を慎重に聞く.
鑑別診断で想起すべき疾患
発症早期のCharcot関節症は熱感,腫脹,発赤をきたす感染(蜂窩織炎,骨髄炎,化膿性関節炎),痛風,深部静脈血栓症(deep vein thrombosis;DVT)などとの鑑別を要する.
治療方針
早期診断が最も重要であり,早期ではまだplantigrade footが保たれているのでplantigrade