診療支援
治療

重症下肢虚血
Critical limb ischemia
富村 奈津子
(南風病院 部長〔鹿児島市〕)

【疾患概念】

 重症下肢虚血(critical limb ischemia;CLI)とは,下肢閉塞性動脈硬化症で安静時疼痛または潰瘍・壊死を伴い,血行再建なしでは組織の維持や疼痛の解除が行えない病態.

【頻度】

 日本では明確な報告はなく,60歳以上で欧米と同様20%前後といわれており,2002年の60歳以上の人口から推察し,下肢閉塞性動脈硬化症は660万~760万人と推測される.


問診で聞くべきこと

 糖尿病,人工透析などの基礎疾患や喫煙歴を聞く.下肢閉塞性動脈硬化症の活動性の低い患者が,些細な外傷を契機に急速にCLIに陥る.下肢痛が間欠性跛行か安静時痛かを確認する.虚血性疼痛は夜間安静時に発生し水平臥床で増悪するため,ベッドから下肢を下垂したり座位で睡眠をとる場合がある.症状を訴えられない高齢者は,認知症やせん妄と誤解されている場合がある.


必要な検査とその所見

(1)ABI(足関節/上腕血圧比)

 

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