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トピックス 足部変形矯正に対する創外固定器の応用
野坂 光司
(秋田大学 講師)

 足部は皮下組織が菲薄で,真皮の伸展性に乏しい.小児内反足やその遺残変形,Charcot-Marie-Tooth病などに代表される麻痺足で変形が重度な症例においては,変形矯正を一期的に行う場合,変形矯正骨切り時に足部を小さくして皮膚に余裕を持たせる方法をとらなければ,術後創部に皮膚障害が生じることがある.特に前足部から中足部の短縮した皮膚が伸長する方向への一期的矯正で,無理に内固定を使用すると,軟部の緊張が強くなるため循環障害を招きやすい.

 リング型創外固定器(フットリングではスクエア型)は,1.8mmのワイヤーを多数刺入することにより,薄い皮下にインプラントを留置することなく,強固に固定できるため有用である.近年,足部に特化した薄く小さなプレートなど内固定材料の発展により,リング型創外固定器の必要性は低下しつつあるとされている.しかし,リング型創外固定器を使ったほうが治療しやすい症例が少なからず存在することも事実である.またリング型創外固定器も,新しい可変式ストラットやHexapodシステムの開発,普及など,内固定に勝るとも劣らない進化を遂げており,複雑・煩雑というデバイスから,使いやすいデバイスへと変わりつつある.

 比較的頻度の高い疾患である,尖足矯正においても有用である.足関節周囲骨折に重度開放骨折を合併して生じた尖足や,外傷性コンパートメント症候群後遺症,重度麻痺性尖足など,足関節の関節包周辺が高度に癒着している症例は,アキレス腱延長や軟部組織解離だけでは矯正不足になりやすく,創部トラブルも起きやすい.難治性尖足では,強固な固定力を持つリング型創外固定器は,距腿関節に牽引力をかけ緩徐に矯正を行うことにより,歩行訓練を行いながら尖足矯正を行うことが可能である.また,重度の末梢神経障害から生じるCharcot足・足関節も,糖尿病人口の増加から増加傾向にあり,難治である.

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