診療支援
治療

骨転移の診断治療を通してチーム医療のあり方を考えよう
内田 淳正
(三重大学 前学長)

 最近の整形外科医は転移性骨腫瘍の診断や治療を回避する傾向が強いとの声をよく耳にする.がんの治療成績が向上し,患者の生存期間が延長すれば骨転移が増える状況にあるにもかかわらず,である.特に第一線の病院では高齢者疾患や外傷への対応に追われて,多くの複雑な身体的,精神的また社会的問題を抱えている骨転移の患者を診察することを嫌がる.確かに放射線療法の発達や新しい薬物療法の出現などにより,整形外科に相談なく内科や放射線科に直接紹介されている.骨折をきたすと整形外科にとなるが,通常の骨折と異なり難渋することが少なくない.そのときになって初めて診察し,なぜ骨折する前に相談してくれなかったのかと残念な気がするが,これまでの努力不足により他科の信頼が得られていないことによると大いに反省しなければならない.日頃から病院内だけでなく地域の医療機関の他科の医師との交流や情報発信をはかることが重要である.

 骨転移

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