私の目に焼き付いている組織写真がある.椎体・海綿骨類似生体材料として作製したチタンメッシュボールをウサギに埋め込み,ヴィラヌエバ染色を施した研磨切片の世界である.真黒なチタンワイヤに沿うピンク色の類骨と緑色の骨梁.これらが破骨細胞を交えて多寡・濃淡入り乱れる万華鏡の世界であった.延長仮骨に見られる旺盛な類骨反応や軟骨を経ない直接骨化像にも興奮した.CTやMRIに慣れた諸君の目には,単純X線でうっすらと見える頼りない骨折仮骨に旺盛な内軟骨骨化組織像を重ねることは困難かもしれない.しかし諸君が運動器専門医になりたいなら,そういう驚異の世界をイメージでき,かつ治癒反応に感動できる医師になれる教育を受けてほしいものである.
急性期病院に勤務していると,入院はとにかく手術をするため,手術はとにかく早く退院・転院させるため,という流れに慣らされてしまう.諸君が期待する教育も手術手技であろう.「保存療