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Ⅰ.関節可動域表示および測定法の原則

■基本肢位

 Neutral Zero Methodを採用しているので,Neutral Zero Starting Positionが基本肢位であり,概ね解剖学的肢位と一致する。ただし,肩関節水平屈曲・伸展については肩関節外転90°の肢位,肩関節外旋・内旋については肩関節外転0°で肘関節90°屈曲位,前腕の回外・回内については手掌面が矢状面にある肢位,股関節外旋・内旋については股関節屈曲90°で膝関節屈曲90°の肢位をそれぞれ基本肢位とする。

■関節の運動

‍ 1関節の運動は直交する平面,すなわち前額面,矢状面,水平面を基本面とする運動である。ただし,肩関節の外旋・内旋,前腕の回外・回内,股関節の外旋・内旋,頚部と胸腰部の回旋は,基本面内の軸を中心とした回旋運動である。また,足部の内がえし・外がえし,母指の対立は複合した運動である。

‍ 2関節可動域測定とその表示で使用する関節運動とその名称を示す。なお,下記の基本的名称以外にしばしば臨床的に用いられている用語があれば( )内に併記する。

 (1)屈曲と伸展:多くは矢状面の運動で,基本肢位にある隣接する2つの部位が近づく動きが屈曲,遠ざかる動きが伸展である。ただし,肩関節,頚部,体幹に関しては,前方への動きが屈曲,後方への動きが伸展である。また,手関節,手指,足関節,足指に関しては,手掌または足底への動きが屈曲,手背または足背への動きが伸展である。

 (2)外転と内転:多くは前額面の運動で,体幹や手指の軸から遠ざかる動きが外転,近づく動きが内転である。

 (3)外旋と内旋,回外と回内:肩関節および股関節に関しては,上腕軸または大腿軸を中心として外方へ回旋する動きが外旋,内方へ回旋する動きが内旋である。

 前腕に関しては,前腕軸を中心にして外方に回旋する動き(手掌が上を向く動き)が回外,内方に回旋する動き(手掌が下に向く動き)が回内である。

 

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