診療支援
診断

第1版 序
Preface of 1st edition


 臨床医にとって,「患者をよく診る」ことの重要性が,今日ほど強く問われている時代はないであろう。理学的な所見だけでなく,形態学的,生理・生化学的,免疫学的な検査所見や,イメージ(画像)の所見を正しく総合的に判断して,ある結論に導くのが診断法であるが,補助診断法がいちじるしく進歩している現在では,単に病名の決定のみならず,病態や予後,さらに治療法の選択や予防にまで触れる必要がある。それだけに,従来にも増して,総合判定が難しくなってきている。

 診断法に関する書物はこれまでも数多くあり,それぞれに優れた特徴をもっている。しかし,最新の検査法を含めて,普遍的・総合的な診療技術を教えるテキストは見当たらない。本書は,高学年の医学生,研修医のみならず,一般臨床医を対象として上記の要請に沿うものとして企画されたものである。

 本書の内容は,症候編と疾患編から構成されている。

 症候編では,主な症候の鑑別上の着眼点とともに,救急処置,その症候をみる疾患の種類と頻度,鑑別診断のポイント,診断がつきにくいときにはどうすればよいか,などについて具体的に記載されている。図表を多くし,プライマリー・ケアにも十分に配慮してある。

 疾患編では,各疾患の診断のポイント,診断・鑑別診断のコツについて,簡潔に,しかも洩れなく述べられている。覚えやすさ・使いやすさを考慮し,重要な事項にはアンダーラインを付してある。補助診断についても,どれをどのように行うか,行ってよい場合・わるい場合,所見の意義付けなど,実例とともに紹介されている。疾患の概念・成因・分類・病期・頻度なども,もっとも新しく,しかも確立された知見をもとに記載していただいた。公害病や公費負担の有無についても配慮してある。

 診断が困難なときの対策,治療方針の概要,合併症,予後,手術適応なども,重点的に要領よく纏めていただいた。重要なものは煩をいとわずに,異

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?