診断のチェックポイント
●定義
1961年Petersdorfらは,不明熱(FUO)を「38.3℃以上の発熱が3週間以上継続的に出現し,1週間の入院精査でも原因が不明のもの」と定義した。その後医療技術の進歩によりFUOはいくつかにカテゴリー化され,また診療の重心が入院から外来へ移行していることから,1991年Durackらは古典的FUO,院内FUO,好中球減少性FUO,HIV関連FUOに分類する新たな定義を提唱した。従来のFUOは古典的FUOに相当するが,「1週間の入院精査」は,「3回以上の外来受診,もしくは3日以上の入院」と修正された。
本項では修正された定義のなかから,主に古典的FUOについて詳述する。
【1】病歴
❶現病歴
■正確な発熱の有無の確認
■発熱期間
・熱型:稽留熱(日差1℃以内で持続),弛緩熱(日差1℃以上で最高体温が37℃以上),間欠熱(高熱期と無熱期の日差が1℃以上で最低体温が37℃以下),回帰熱(1日ないし数日の正常体温期の間に短期間の有熱期),周期熱(規則的な周期をもつ),波状熱(有熱期と無熱期が不規則に交互に現れる)を区別することは診断するうえで重要な情報となる。
・Hodgkinリンパ腫では,Pel-Ebstein型発熱といわれる高熱期と無熱期を繰り返す特殊な熱型がみられることがある。
❷既往歴
■基礎疾患。
■内服歴(薬剤熱の可能性を検討。その他危険ドラッグ,麻薬,覚醒剤の使用についても留意する)。
■手術歴。
■臓器移植歴(免疫抑制剤の使用も含めて)。
■体内異物(ペースメーカー,人工関節,人工弁,美容整形に用いる固形・ジェル・液体など)。
■歯科治療歴(インプラントなど)。
■輸血歴。
❸家族歴
■遺伝性疾患。
■住居環境(感染症,発癌物質への曝露など)。
❹社会歴
■出身地(ヒトT細胞白血病ウイルスI型など特殊な感染症の高分布地域について情報を得る)。
■職歴(アスベストによる
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