診断のチェックポイント
●定義:不明熱とは:不明熱(FUO)は,医療従事者によって発熱が記録され,3週間にわたる外来での検査後または1週間にわたる入院検査でも発熱の原因が特定できなかった場合に用いられる。
【1】病歴
❶患者の年齢:疾患の推定に有用である。
■小児:全身感染症,局所感染症,自己免疫疾患,腫瘍性疾患,自己炎症性疾患などの可能性を考える。
■学童期:呼吸器や泌尿生殖器の感染症,膿瘍,骨炎・骨髄炎などの局所感染症,若年性特発性関節炎,白血病などが多い。
■思春期以降:炎症性腸疾患,自己免疫疾患,リンパ腫などが多くなる。
❷生活歴や旅行歴の聴取:これらも重要である。家畜や野生動物との接触,カメやトリなどのペットの飼育,特定地域への旅行あるいは旅行した者との接触,旅行先で汚染された食物の摂取などの有無を聞きとる。
❸薬剤歴:薬剤熱は比較的多い原因であるので,正確な薬剤歴を調べる必要がある。点眼薬を含む局所薬も漏れなく聴取する。
❹随伴する症状:微細であっても記録にとどめる。軽度の骨・関節痛や背部痛などの痛み,短時間で消失する紅斑などの皮疹,乾性の咳嗽などの呼吸器症状は,発熱の原因検索の手がかりになる。
【2】身体所見:詳細な身体所見をとることも診断の手がかりになる。
❶頭頸部:頭蓋骨病変(→Langerhans組織球症などの腫瘍性病変),副鼻腔の圧痛(→副鼻腔炎),側頭動脈結節・拍動減少(→側頭動脈炎),歯痛(→歯根尖周囲膿瘍),口内炎(→自己免疫疾患,自己炎症性疾患),脈絡膜結節(→播種性肉芽腫症),甲状腺腫(→甲状腺炎,甲状腺機能亢進症)など。
❷胸部:心雑音(→感染性心内膜炎),頻脈(→重症感染症,甲状腺機能亢進症)。
❸腹部:脾腫(→白血病,リンパ腫)。
❹直腸:圧痛・腫脹(→膿瘍)。
❺皮膚:点状出血(→血管炎,白血病),紅斑(→リウマチ熱,若年性特発性関節炎)。
【3】検査
❶血液検査:核