診療支援
診断

ショック
Shock
鈴木 昌
(東京歯科大学市川総合病院救急科・教授)

緊急処置

【1】集学的なチーム医療:原因の特定に至っていない低血圧やショックでは,診断と治療的介入とを同時に行う。

【2】重症患者に対する一般的初期対応:酸素投与(oxygen)-静脈路確保(IV)-モニター装着(monitor)。

【3】リスク評価と原因に応じた緊急処置の要否判断:必要な場合はいわゆる「ABC」を含めた対応開始(図1)。

❶A(airway,気道):気道確保。呼吸困難を伴う場合と血圧が不安定な場合とでは気管挿管を迅速導入気管挿管(rapid sequence intubation:RSI)で実施。プロポフォールやミダゾラムによる鎮静は血圧のさらなる低下の危険があり,ケタミン使用を考慮。緊張性気胸を要除外(気道確保に緊急性が乏しい場合,気管挿管は待機的に行う)。

❷B(breath,呼吸):必要に応じて酸素投与。緊急処置を要する重症患者では高濃度酸素投与を開始,必要に応じて徐々に酸素濃度を下げる。呼吸が不安定であれば,バッグバルブマスクを用いた用手換気を行いながら,気管挿管を行って人工呼吸を開始。適応に応じ非侵襲的陽圧換気(non invasive positive pressure ventilation:NIPPV)も可。

❸C(circulation,循環):18G以上の太い末梢静脈路を確保。中心静脈路は緊急処置には適さない。末梢静脈路確保が困難な場合,骨髄輸液路の確保を考慮。輸液は,心機能が保たれていれば,乳酸加リンゲル液500~1,000mL(小児では10~20mL/kg)で開始。

診断のチェックポイント

 診断の流れを以下に概説する。

❶ショックの認識(表1)は,患者接触時の第1印象に基づく。以下を認めればショックの症候と認識し前述の[緊急処置]を開始する。

意識レベルの変容(意識障害,不穏)

末梢動脈拍動が微弱

頻脈あるいは徐脈

毛細血管再充満時間(capi

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?