診療支援
診断

歩行障害
Gait Disturbance
饗場 郁子
(国立病院機構東名古屋病院・脳神経内科・臨床研究部長)

診断のチェックポイント

【1】病歴

❶発症の仕方

突然の発症(→脳梗塞,脳出血など。緊急に検査が必要)。

数日かけて進行(→Guillain-Barré症候群や多発性硬化症)。

数週~数か月にわたり進行(→慢性硬膜下血腫,Creutzfeldt-Jakob病,腫瘍など)。

月~年単位で進行(→神経変性疾患や,骨関節疾患,正常圧水頭症など)。

❷歩行障害に先立つ病歴はないか

外傷,特に頭部外傷の既往(→慢性硬膜下血腫)。

薬剤の追加(→薬剤性パーキンソニズム)。

感冒症,下痢(→Guillain-Barré症候群)。

睡眠,長期臥床(→腓骨神経麻痺,廃用症候群)。

❸歩行障害以外にどのような症状があるか

呂律が回らない(→脳梗塞,脳出血など)。

しびれ(→脳卒中,変形性脊椎症,末梢神経障害など)。

頸部痛,腰痛(→変形性脊椎症,腰部脊柱管狭窄症など)。

振戦(→Parkinson病など)。

動作緩慢,小声(→Parkinson病,進行性核上性麻痺,多系統萎縮症,薬剤性パーキンソニズムなど)。

頻回の転倒(→進行性核上性麻痺,脊髄小脳変性症,Parkinson病,正常圧水頭症など)。

複視(→重症筋無力症,Fisher症候群)。

立ちくらみ(→Parkinson病,多系統萎縮症,貧血)。

尿失禁(→正常圧水頭症,慢性硬膜下血腫,多発性脳梗塞など)。

排尿障害・乏尿(→脊髄障害,多系統萎縮症)。

体重減少(→傍腫瘍症候群)。

歩行時ふらつき(→貧血,脊髄小脳変性症,起立性低血圧をきたすParkinson病や多系統萎縮症など)。

浮遊感(→徐脈,頸椎症,椎骨脳底動脈血流不全症)。

呼吸が苦しい(→Guillain-Barré症候群,筋萎縮性側索硬化症)。

両上肢の麻痺(→Guillain-Barré症候群)。

上肢のしびれ・感覚障害(→頸椎症,頸髄症)。

不随意運動(→Huntington

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