診療支援
診断

リンパ節腫大(1)非感染症を中心に
Non-Infectious Lymphadenopathy
山口 素子
(三重大学病院講師・血液内科)

緊急処置

 著明なリンパ節腫大による圧迫症状のため緊急処置を要する場合がある。例として頸部・縦隔では気道閉塞,不整脈(特に徐脈),腹腔内では尿管の巻き込みによる水腎症,腸閉塞などがある。

診断のチェックポイント

 年齢,部位,原因疾患によって異なるが,長径1cmを超えるリンパ節を認める場合に異常として精査を行うことが多い。多くは感染症に伴う腫大である。感染症以外では,悪性腫瘍でも約60%の患者が治癒を得る悪性リンパ腫を念頭において鑑別をすすめる。

【1】病歴

❶年齢:おおむね30歳までの若年成人では非腫瘍性疾患,中高年の場合は腫瘍性疾患を最初に疑う。

❷初発時所見:リンパ節腫大に初めて気づいた時期,部位,サイズと数,自発痛や圧痛の有無,皮疹・発赤などの随伴症状,先行感染の有無を聴取する。

❸進行の速さ:リンパ節が増大あるいは範囲拡大傾向の場合,そのスピードが年単位・月単位・週単位のいずれであるかを聴取する。悪性リンパ腫の場合は,それぞれ順に低悪性度・中悪性度・高悪性度リンパ腫の可能性を示唆する。一時的な縮小などのサイズ変動は非腫瘍性疾患に多いものの,濾胞性リンパ腫など一部の悪性リンパ腫病型でもみられる。

❹リンパ節以外の症状:全身症状(発熱,体重減少,夜間の発汗→悪性リンパ腫),皮膚症状,関節症状の有無。

❺既往歴:歯科(→細菌性リンパ節炎),皮膚科(→アトピー性皮膚炎などによる皮膚病性リンパ節症,アレルギー),膠原病・リウマチ科(→関節リウマチ,膠原病,免疫抑制薬などによるリンパ増殖性疾患),精神神経科(→薬剤性リンパ節腫大)。

❻社会歴:アレルギーの有無,常用薬(→薬剤性リンパ節腫大),ベリリウム曝露(→ベリリウム症)の有無。HIV感染の可能性についても聴取する。出身地の情報は成人T細胞白血病リンパ腫(adult T-cell leukemia:ATL)の鑑別で重要であるが,近年では西南日

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