発疹には皮疹と粘膜疹があり,皮膚や粘膜にみられる症状を記載する用語がいくつかある。発疹名は病名と混同しないことが大切であり,例えば湿疹は病名であるので,皮膚に何か症状がみられる場合は,湿疹ではなく皮疹という。
緊急処置
【1】食事や蜂刺されなどによるアナフィラキシーショック:皮膚にじん麻疹を伴うことが多い。
【2】広範囲に紅斑やびらんがみられたり,粘膜疹や発熱を伴う薬疹:入院加療を要する。
【3】気道熱傷やⅢ度熱傷,糖尿病や動脈硬化に伴う肢端壊疽,壊死性筋膜炎など:緊急入院,緊急処置を要する。
診断のチェックポイント
【1】病歴
❶アレルギー素因(アトピー性皮膚炎,花粉症,薬剤アレルギーなど)。
❷全身疾患(膠原病,糖尿病など)。
❸内臓悪性腫瘍。
【2】身体所見
❶紅斑(図1図):“斑”とは,ある程度の面積をもった水平方向への広がりである。紅斑が主体の疾患は紅斑症に分類され,多形滲出性紅斑,結節性紅斑,好中球性紅斑,じん麻疹様紅斑などに分かれる。
❷色素斑(図2図):大抵,褐色や黒色調をしている。
❸紫斑(図3図):赤血球の漏出によるもので,斑状の紫斑もあれば点状の紫斑もある。
❹丘疹(図4図)
■炎症細胞が局所に浸潤してくることによりできる小さな盛り上がりのこと。腫瘍ではなく炎症によるため,大きさは2~3mmである。
■ステロイド外用薬により軽快する可逆的な変化であり,腫瘍性のものとは区別する。
❺膨疹(図5図):血管透過性の亢進により一過性にみられる限局性の膨隆疹。じん麻疹を表現するときに使う。時間が経つと隆起は平坦化し,紅斑と区別が困難なこともある。
❻結節(図6図)
■主に,腫瘍,沈着症,肉芽腫のときにこのように称される。沈着症はムチンやアミロイド蛋白が真皮内に沈着したことにより形成される。
■リウマトイド結節,結節性ループスムチン沈着症,結節性アミロイドーシス,結節性痒疹,サルコイド結節などが挙げら
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