緊急処置
出血の部位と量から全身状態を評価し,貧血の程度に応じて酸素を投与する。眼底と頭蓋内,気道,消化管や尿路など深部・内臓出血を疑って,画像診断を進め外科的止血介入の必要性を判断する。
診断のチェックポイント
●定義:出血傾向とは自然にあるいはごく軽微な外力で出血し,止血困難となる状態である。紫斑(purpura)は,点状出血(petechia;<3mm,赤色の毛細血管性出血)と斑状出血(ecchymosis;≥3mm,青紫の皮下出血)に分類され,広範なものは溢血斑(suggillation)とよばれる。しばしば圧痛を伴う皮下血腫を触れる。
【1】病歴
❶出血歴:初発時期が疾患で異なる。血小板,凝固因子,血管および他の異常から出血歴を検討する。
■新生児期の主症状は臍出血とメレナである。臍出血では第ⅩⅢ因子欠乏症,無フィブリノゲン血症,α2プラスミンインヒビター(α2PI)欠乏症などを,メレナではビタミンK欠乏症を疑う。
■斑状出血と溢血斑が点状出血と混在して多発する場合,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)や電撃性紫斑病に留意する。新生児プロテインC欠乏症は,頭蓋内出血・梗塞が電撃性紫斑病に先行する。
■血友病が新生児期に頭蓋内出血以外で発症することはまれである。抱っこ後の紫斑や生歯ごろの繰り返す歯肉出血は気づかれにくく,歩行を開始して関節内や筋肉内出血がみられるようになる。
■von Willebrand病(VWD)では,幼児期から鼻出血や紫斑を反復する。
■思春期女子の月経過多や卵巣出血は出血傾向を疑わせる。
■創傷治癒の遅延もフィブリノゲン異常症や第ⅩⅢ因子欠乏症の症候である。
❷家族歴:3代にわたる家族歴の確認が必須である。血友病AとBはX連鎖劣性遺伝病で,家族歴のない孤発例が1/3とされる。女性保因者の分娩