診断のチェックポイント
●定義
❶成人の肥満の判定:体格指数〔body mass index:BMI=体重(kg)/身長(m)2〕が用いられ,表1図のように判定する(「肥満症診療ガイドライン2016」を参照)。欧米ではBMIが30以上を肥満と定義している(WHO基準)が,日本人は軽度の肥満でも代謝異常の合併が多く,わが国ではBMIが25以上を「肥満」,35以上を「高度肥満」と定義している。
❷肥満症の診断:BMIで定義された肥満だけで直ちに減量を必要とするわけでなく,肥満に起因ないし関連する健康障害(表2図)を有するか,あるいは健康障害の合併が予測される場合で減量を要するもの,またはウエスト周囲長によるスクリーニングで内臓脂肪蓄積を疑われ,腹部CT検査によって確定診断された内臓脂肪型肥満については「肥満症」と診断し,疾患単位として取り扱われる。
❸成長過程にある小児の肥満判定:BMIを用いずに肥満度≧20%か体脂肪率の有意な増加で判定し,成長曲線の活用が推奨されている(詳細は「小児肥満症診療ガイドライン2017」を参照)。
【1】病歴
❶背景因子の把握:日常の生活習慣に加えて,出生体重,小児期から成人期の体重変化,食育にかかわる孤食を含めた家庭・学校環境,成人期以降での職場環境・ストレス状況などその背景因子を把握する。
❷健康障害および肥満の程度の評価:自覚症状,医療機関への通院歴,服薬内容,既往歴など聴取し,肥満に起因ないし関連する健康障害の有無や程度を評価する。
❸家族歴:糖尿病・高血圧などの家族歴を有する肥満症例の場合は現時点で症状がなくとも将来的に健康障害を合併する可能性を念頭において診療にあたる。
【2】身体所見
❶肥満は明白な病因(他の疾患や薬剤など)により生じる症候性肥満とそれ以外の原発性(単純性)肥満に分類される。
❷日常診療で遭遇する肥満のほとんどは原発性肥満だが,診療にあたっ