緊急処置
【1】明確な定義はないが,Hbが6.0g/dL以下の状況は重症貧血と考えられる。
【2】重症貧血や貧血に伴う臨床症状(呼吸困難,心不全など)が強い場合には,出血などの原因疾患の検索とともに赤血球輸血を考慮する。
【3】自己免疫性溶血性貧血では,輸血血液が溶血を起こす可能性があるために注意(クロスマッチが困難なこともある)。また鉄欠乏などの「欠乏性」貧血では欠乏因子の補充を優先し,輸血はやむをえない緊急時に限るのが原則である。
診断のチェックポイント
貧血は症候名であり,必ず原疾患が存在する。診断の際は,貧血自体の診断に加え,原疾患の特定が必須である。
●定義:末梢血の赤血球成分が減少した状態を指し,通常Hb値の低下で判断する。正常参考値は年齢,性別,人種によって異なるが,WHO基準では成人男性で13.0g/dL,女性では12.0g/dL以下とされ,一般にはこの基準が用いられている。
【1】病歴
❶いつから症状があるのか,程度はどのくらいか,進行は急速かなどの発症時期や進行速度,重症度に関する情報を聴取(→緊急性の判断,原疾患の鑑別に重要)。
❷胃部不快感,痔核,黒色便,性器出血など消化器疾患や婦人科疾患を疑う病歴を確認(→消化管出血,性器出血など)。
❸出血傾向(点状出血,紫斑)や発熱など他血球系にかかわる臨床症状も重要。
❹手術歴(胃切除)や薬剤内服歴,炎症性疾患などの既往歴・合併症を聴取。
❺偏食やダイエット,飲酒などについての生活歴や,異嗜症(鉄欠乏性貧血)の有無などについて問診する。
❻貧血の症状には,易疲労感,頭痛,めまい,耳鳴,狭心痛など組織の酸素欠乏による直接症状のほか,動悸,頻脈,息切れなどの代償性症状がある。
❼症状には個人差があり,緩徐に進行する貧血では自覚症状に乏しいことも多い。ただし,その場合でも「駅の階段昇降時の息切れ」など日常生活に則した質問で,有意な自覚症状を
関連リンク
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