診断のチェックポイント
●定義:マグネシウム(Mg)は細胞内でカリウム(K)に次いで多い陽イオンであり,生体内ではカルシウム(Ca)の作用に拮抗するため,天然のCa拮抗薬ともいわれる。Mgは経口摂取され,腸管から吸収,腎臓から排泄されるが,そのバランスによって過剰・欠乏が生じうる。血清Mg濃度の正常値は1.8~2.4mg/dLであるが,通常,Mgはルーチンで測定される項目ではないため,検査で基準範囲を逸脱している場合,Mg異常症の存在を疑う必要がある。
【1】病歴
❶高Mg血症:通常医原性である。静注あるいは,下剤・制酸薬として投与されたMg製剤によるものである。腎不全の有無・程度の評価と,Mg使用歴を確認する。
❷低Mg血症:慢性の下痢,プロトンポンプ阻害薬の内服,アルコール多飲,利尿薬の使用が低Mg血症の原因となるため,これらの有無を確認する。
【2】身体所見
❶高Mg血症:4~6mEq/L(4.