緊急処置
【1】心肺停止状態ではない場合:日本外傷診療研究所(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care:JATEC)のABCDEアプローチが有用である。
❶Primary survey:迅速にABCDEを実行する。気道の開放(A:airway),人工呼吸(B:breathing),循環管理(C:circulation)に続いて,中枢神経障害〔D:dysfunction of central nervous system (CNS)〕のスクリーニングとして,Glasgow Coma Scale(GCS)で意識レベルを評価,瞳孔・対光反射,四肢の動きを確認する。そして,脱衣させて体表を観察した後,体温測定して低体温を防ぐ(E:exposure and environmental control)。
❷Secondary survey:❶でバイタルサインを安定させた後に意識障害の詳細な鑑別診断を行う。
❸切迫する「D」があった場合は,secondary surveyの最初に頭部画像診断を行う。ここで,切迫する「D」とは,1)GCS≦8,2)急速に意識低下(GCS 2点以上),3)脳ヘルニア徴候(左右瞳孔差,片麻痺,高血圧と徐脈)のいずれかの徴候が認められる場合である。
【2】心肺停止が疑われる場合:心肺蘇生のために一次救命処置(basic life support:BLS)に続いて二次心肺蘇生法(advanced cardiovascular life support:ACLS)のABCDをすみやかに実行する。ちなみにBLS/ACLSのABCDアプローチの「D」はdefibrillation(除細動)/differential diagnosis(鑑別診断)である。
【3】低血糖性昏睡が疑われる場合:すみやかに50%ブドウ糖40mL静注する。