緊急処置
【1】呼吸,循環状態,バイタルサイン,意識レベルの評価において異常がある場合:気道確保,酸素投与,輸液ルート確保,ショックに対する処置,除細動など病態に応じた処置を行う。
【2】外傷の有無,瞳孔の確認。
❶外傷がある場合:頸部固定。
❷瞳孔不同,散大がある場合:CTで脳ヘルニアのチェック。
【3】血糖をチェックし低血糖がある場合:ブドウ糖投与。
診断のチェックポイント
【1】病歴
❶発症様式(突然,急性,亜急性)と経過:突然の場合は,脳血管障害,てんかん発作が疑われる。
❷発熱,嘔吐,頭痛,けいれんなどの随伴症状,先行症状の有無。
❸既往歴・外傷・薬剤常用の有無,予防接種歴
■シクロスポリンなど免疫抑制薬:感染症以外に可逆性後頭葉白質脳症(posterior reversible encephalopathy syndrome:PRES)なども誘発されうる。
■乳幼児の虐待:乳児揺さぶられ症候群のように外傷がない場合もある。
■軽微な頭部打撲:通常,意識障害,けいれんをきたすことはない。
❹摂食状況:前夜の摂食が不十分だった場合など,ケトン性低血糖が疑われる。
❺家族歴・感染症の流行状況
■近親婚の有無,片頭痛,けいれんなど。
■感染症が疑われる場合:地域や家族内や保育園,学校などでの感染症の流行状況。
【2】身体所見
❶眼球・眼底の観察:瞳孔,眼振,眼球偏倚,人形の目現象,うっ血乳頭,眼底出血など。
❷体位と姿勢の異常,髄膜刺激症状,左右差,巣症状。
【3】検査
❶血液検査
■血糖,血液ガス,CBC,NH3,一般生化学,電解質,CRP,凝固など。
■急性期の血清,血漿,尿は凍結保存しておく(後に代謝異常,薬物中毒などを疑う場合使える)。
❷CT・MRI
❸胸部X線
❹心電図
❺脳波
原因疾患と頻度
意識障害の主な原因を表1図に示す。原因が中枢神経自体の病変によるものか,頭蓋外の全身性の病気に伴うものかに分けると考えやす