診断のチェックポイント
●定義
❶米国精神医学会の診断基準〔精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)〕によると,概念的・社会的・実用的からなる複数の領域において,知的機能の遅れと適応機能の障害の両方が18歳未満より認められる状態として定義される。
■知的機能の遅れとは,臨床評価および知能検査で確認される,年齢の平均値より有意に低い知的能力を指す。
■適応機能の障害とは,日常生活や社会生活など,複数の場面において年齢・社会文化的に期待される行動がとれず,継続的な支援を必要とする状態を指す。
❷古くは精神薄弱や精神遅滞,知的障害とよばれていたが,DSM-5の改訂に伴って知的能力障害と変更された。
【1】病歴:幼少期より,期待される発達指標に到達する時期の遅れ,もしくは到達しない状態がみられ,その障害は生涯続く。一般に進行性ではないが,Rett症候群など進行性の経過を示すものもある。
❶全般的な発達の遅れ