緊急処置
【1】児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)では,医療者の義務として,児童虐待の早期発見,児童虐待の通告が定められており,児童虐待を疑った場合,医師は「速やかに」「市町村,都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所(中略)に通告しなければ」ならない。
【2】医師の通告義務は個人情報保護義務に優先する。子どもの自殺危険性が切迫した状態にある場合は,精神科医療機関に紹介する。
診断のチェックポイント
●定義:法的な用語としては,child abuseの訳語である児童虐待が用いられているが,近年の医学的な文献では,身体的虐待,性的虐待,情緒的虐待,ネグレクトのすべてを含んだ,子どものマルトリートメント(child maltreatment)という用語が用いられることが多い。
❶身体的虐待:叩く,蹴る,首を絞める,やけどさせる,噛みつく,押す,投げる,落とす,揺するなどの行為