緊急処置
【1】急激な眼球突出で視力低下や眼圧上昇を伴う場合
❶原因が不明であれば眼窩CTを撮像する。
❷球後出血ならば,視力温存のため急ぎ外嘴切開を行う必要がある。
❸眼窩蜂窩織炎ならば抗菌薬投与を行い,眼圧が上昇しているならばD-マンニトールなど高張液を投与する。
【2】炎症性疾患で視力などの低下を伴う場合:ステロイドの投与を慎重に行う。
診断のチェックポイント
●定義:Hertel眼球突出計にて両側眼窩外側縁から角膜頂点までの距離を測定。日本人の平均は13~15mmで,19mm以上または左右差が2mm以上を異常とする。
【1】病歴
❶現病歴,既往歴:腫瘍性疾患,甲状腺関連疾患であれば注意が必要。
❷手術歴:眼窩や副鼻腔の外傷や手術歴(→眼窩蜂窩織炎)。
❸打撲歴:転倒や,顔面打撲などの有無を問診時に確認。
【2】身体所見
❶視診において上方または側方から眼球突出を,正面から眼位を確認する。
❷問診も参考に眼球運動制限の有無を確認する。
❸眼部局所の症状であることが多い。
【3】検査
❶一般眼科検査:視力,眼圧,細隙灯顕微鏡検査にて眼瞼所見を診る。
❷CT,MRI:問診,視診でも原因がわからない場合,まず単純CTを行う。
❸採血:CRP,血沈,末梢血を検査(→甲状腺関連疾患や眼窩蜂巣炎)。
原因疾患と頻度
【1】甲状腺関連眼疾患(30%):若年女性に多い。多くが片眼性である。甲状腺機能の亢進でも低下でも,さらにはホルモン値が正常でもみられることから,近年このようによばれる。眼瞼症状,特に瞼裂開大を伴うと眼が大きく見えて眼球突出の見た目を助長する。診察では忠実に眼球突出度を計測する必要がある。
【2】眼窩蜂窩織炎(20%):眼瞼や副鼻腔の細菌感染が眼窩内に波及すると,疼痛を伴う急性眼球突出が生じる。早急な原因の除去と抗菌薬投与が必要になる。副鼻腔炎が原因であればすみやかに耳鼻咽喉科に依頼し副鼻腔炎の手術を行う。副鼻