診断のチェックポイント
●定義:眼精疲労とは,休息しても症状が改善しない病的な眼疲労のことをいう。
【1】病歴:既往歴に加え,職場の作業環境(採光,湿度,パソコンのモニター位置と目線,モニターと室内照度の差,モニターへの映り込み・反射,フォントサイズなど)や,作業内容〔パソコン,スマートフォンなどの近用作業の程度(作業時間や休憩の取り方など)〕,心的要因(仕事への興味や人間関係など)を総合的に明らかにする。
【2】身体所見
❶目の重圧感
❷眼痛
❸頭痛
❹頸こり,肩こり
❺羞明
❻悪心
❼めまい
❽視力障害
【3】検査
❶屈折検査,矯正視力検査,自他覚的調節検査
❷連続近点計(ニデック社製VDT近点計VNP-200,興和社製NPアコモドメータ)
❸両眼開放式定屈折近点計(ワック社製D'ACOMO)
❹電子瞳孔計(浜松ホトニクス社製トライイリスC9000)
❺動体視力計(興和社製コーワ AS-4F)
❻調節機能解析装置(ニデック社製AA-1,ライト製作所社製Speedy-K)
原因疾患と頻度
眼精疲労は,その原因と頻度により順に分類される(表1図)。ただしその正確な頻度は,各々が相互に関与して発症していることが多いため一概に示すことができない。
重要疾患の鑑別のポイント
症候性眼精疲労:下記に列挙する原疾患の治療を行う。
【1】ドライアイ
【2】緑内障
【3】角・結膜炎
【4】睫毛乱生
【5】眼以外の疾患(全身衰弱,慢性疲労,自律神経失調,更年期障害,鼻・副鼻腔疾患,むち打ち症など)
どうしても診断のつかないとき試みること
【1】表1図に記したごとく眼精疲労の第1の原因は調節性眼精疲労といえる。したがって,個々の患者の年齢,屈折状態とそれに対する適切な矯正状態や矯正手段を確認し,日常生活習慣や職場環境における視環境を詳細にチェックし改善を試みる。そのうえで治療的診断の意味も込め,補助的に下記の薬剤治療を行う。
❶毛様体筋の調節機能