緊急処置
【1】急性期の激しいめまいを訴える患者には,まずバイタルサインを確認して安静を保たせる。
❶補液:めまい患者は嘔吐をしていることが多いので,静脈ルートを確保して補液を行う。
❷制吐薬:嘔気が強い場合はメトクロプラミド(プリンペラン®)やドンペリドン(ナウゼリン®)などの制吐薬を投与する。
❸炭酸水素ナトリウム(メイロン®)の静注:めまい感の抑制に有効とされている。メイロン®は炭酸水素ナトリウム水のため,希釈すると効果が減弱する。そのため,側管から静注する。不安が強い場合はジアゼパム(セルシン®)を投与する。
【2】脳幹・小脳梗塞などの脳血管障害やpre-syncopeなどの心血管性めまいなど,危険なめまいを見逃さないように注意して診察を行う。
❶問診:脳血管障害によるめまいの鑑別:構音障害や複視などのめまい以外の神経症状の有無や頭痛の随伴などを問診し,小脳サインの有無を調べる。急性期のめまいの診断において,CTは小脳出血の診断以外には有用性に乏しい。脳血管障害によるめまいが疑われた場合には,MRI,特にDWIが急性期の脳幹・小脳梗塞の診断に有用である。
❷心血管性めまいの鑑別:血圧を測定し,眼球結膜を観察して貧血の有無を調べる。また脈拍触診や電図検査により徐脈性不整脈の有無を調べる。
診断のチェックポイント
【1】病歴:めまい・平衡障害の診断において,問診は特に重要である。問診からイメージアップされるめまい・平衡障害疾患のフローチャートを図1図に示す。
❶めまい・平衡障害の発症は突発性か持続性か,単発性か反復性か進行性か,蝸牛症状の随伴の有無,頭位や起立などの誘因の有無,他の神経症状の随伴の有無に注意をしながら問診を進める。
❷めまいの性状(回転性が非回転性)は鑑別に有用ではない。一般に回転性めまいは末梢性めまいといわれてきたが,脳血管障害によるめまいでも回転性めまいを訴えることがある