診療支援
診断

眼振
Nystagmus
肥塚 泉
(聖マリアンナ医科大学教授・耳鼻咽喉科学)

緊急処置

 強い眼振と激しいめまいが認められる急性期の患者で,構音障害や麻痺,感覚障害,運動失調,眼球運動障害などの神経症状を伴う場合や頭痛を伴う場合は,脳卒中によるめまいを鑑別するため拡散強調画像(DWI)を含む頭部MRIを撮影する。

診断のチェックポイント

定義

❶眼振とは,律動的に反復する眼球の不随意運動で,緩徐相と急速相からなる衝動性眼振と,これらのない振子様眼振に分類される。一般的には衝動性眼振を指し,急速相の向きを眼振の方向と定義する。注視時眼振と非注視時眼振に分類することができる。

❷注視時眼振には注視眼振と異常眼球運動がある。注視眼振は小脳橋角部腫瘍,中脳・大脳障害で認められる。異常眼球運動は中枢神経障害に基づく自発性の異常眼球運動で,稲妻様眼球運動(lightning eye movement),はためき様眼球運動(flutter like oscillations),ocular myoclonus,opsoclonus,眼球浮き運動(ocular bobbing)などがある。

【1】病歴

❶随伴症状(聴覚症状,神経症状)の有無。

❷高血圧,糖尿病,脂質異常症などの合併の有無。

【2】身体所見

❶注視時眼振,非注視時眼振,異常眼球運動の有無。

❷構音障害や麻痺,感覚障害,運動失調,眼球運動障害など神経症状の有無。

【3】検査

❶注視時眼振検査,非注視時眼振検査,異常眼球運動の有無。

原因疾患と頻度

 良性発作性頭位めまい症が最多(40%)。Ménière病(10%),前庭神経炎(3%)。

重要疾患の鑑別のポイント

【1】良性発作性頭位めまい症

❶後半規管型(半規管結石症が主)は回旋成分の強い上眼瞼向き頭位変換眼振。

❷外側半規管型(半規管結石症)は方向交代性向地性水平性頭位眼振。

❸外側半規管型(クプラ結石症)は方向交代性反地性水平性頭位眼振。

【2】Ménière病()

❶聴覚症状(難聴,耳

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