診療支援
診断

鼻閉
Nasal Obstruction, Stuffy Nose
清水 猛史
(滋賀医科大学教授・耳鼻咽喉科学講座)

診断のチェックポイント

定義

❶鼻閉

鼻閉とは,外鼻孔から上咽頭に至る鼻腔あるいは鼻咽腔内に閉塞性病変があり,鼻呼吸が障害された状態をいう。

閉塞性病変には,アレルギー性鼻炎や鼻副鼻腔炎などの炎症性疾患に伴う鼻粘膜腫脹や鼻汁分泌,鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎などの鼻腔形態異常,鼻腔や上咽頭の腫瘍性病変,アデノイド増殖症などがあり,鼻鏡検査,鼻咽腔ファイバー検査,CT,鼻腔通気度検査などによって客観的に評価できる。

❷鼻閉感

鼻閉感は鼻呼吸が障害される自発的な感覚で,個人差が大きく,閉塞性病変の重症度と必ずしも一致しない。

神経症などの精神疾患や萎縮性鼻炎により,閉塞性病変がなくても鼻閉感を訴える場合があり,十分な病歴の聴取と原因疾患鑑別のための検査が必要である。

【1】病歴

❶鼻閉の程度はどのくらいか,口呼吸を必要とするか,一側性か両側性あるいは交代性か,いつ頃発症したか,発症のきっかけはあるか,外傷はあるか,随伴症状として鼻汁の有無とその性状,くしゃみや嗅覚障害はあるか,悪臭を伴うか,鼻出血はあるか,などを確認する。内服薬や点鼻薬の使用,気管支喘息などの全身疾患の有無も確認する。

❷口呼吸を必要とするような重症例では早急な対応が必要である。両側性(→炎症に伴う粘膜腫脹や鼻茸など),交代性(→鼻中隔弯曲症などの形態異常)。

❸悪臭や血性鼻漏を伴う一側性鼻閉(→腫瘍性病変)。

❹水様性鼻漏やくしゃみ(→アレルギー性鼻炎)。時期によって花粉による季節性かダニなどによる通年性か推測する。粘膿性鼻汁(→鼻副鼻腔炎),嗅覚障害(→鼻茸など)。気管支喘息を伴う(→好酸球性鼻副鼻腔炎)。

❺乳幼児や小児:口呼吸をしていても鼻閉を訴えないことが多い。口呼吸や胸郭変形,睡眠時無呼吸,哺乳障害の有無を確認する。出生直後からの鼻閉,呼吸障害(→先天性後鼻孔閉鎖症),悪臭を伴う膿性鼻汁(→鼻腔異物)。アレルギー性鼻炎

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