診断のチェックポイント
●定義
❶ばち指とは,手指および足趾が太鼓のばち状に丸く膨らむように変形した状態をいう(図1図)。爪と指の形状から診断されるが,Lovibond角が180度以上になる。
❷古くは,ヒポクラテスが膿胸,進行した肺結核の患者で最初に記述したとされており,ヒポクラテス爪,あるいは時計皿爪ともよばれる。
❸成因として,血小板由来増殖因子(PDGF)や,血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などの体液性増殖因子が指先のうっ滞に伴う動静脈シャントによって不活性化が抑制され,結合組織の過形成を生じるという仮説があるが,ばち指が起こるメカニズムは十分に明らかにはなっていない。
【1】病歴:いつから出現したかの聴取は重要である。成人期に発症した場合は,肺癌,化膿性肺疾患に随伴した所見である可能性があり注意が必要である。咳,痰,発熱などの有無を聴取する。
【2】身体所見
❶遠位指節間関節から末端が太くなり