診断のチェックポイント(図1図)
●定義
❶Raynaud現象とは,主に寒冷刺激によって発作性に四肢末端の小動脈の攣縮が誘発されて生じる虚血症状である。
❷典型的には,手指や足趾が,突然に第1相:白色(動脈性虚血)→第2相:紫色(チアノーゼ)→第3相:赤色(再灌流による血流量増加)の三相性に変化し,正常に復する。
【1】病歴
❶Raynaud現象は,経験したことがあればはっきりと記憶している。
❷病歴に関する問診
■問診にて「寒いときなどに指がさっと白くなったりすることがありますか?」と簡単な質問をする。経験したことがある者には容易に理解できるが,経験のない者には質問の意味がわからず,「どういう意味ですか?」と聞き返したり,「たぶんあったように思います」と曖昧な返事をしたりすることが多い。
■続いて,どのようなときに出現するか,出現する指とその範囲,色の変化,持続時間などについて詳細に説明してもらう。具体的に説明できない場合や内容的におかしい場合は,本当のRaynaud現象でない可能性が高い。
❸出現する状況:寒冷刺激以外に,精神的緊張,ストレス,温熱刺激などによっても生じることがある。冬季に多いが,気温の変化が重要なため,夏季に出ることも少なくない。
❹出現する指:示指,中指,環指が多く,母指は少ない。また左右差があったり,出やすい指が決まっていることもある。中手指節(MP)関節以遠全体に出る場合もあるし,近位指節間(PIP)関節や遠位指節間(DIP)関節以遠に出るような場合もある。伸側にも屈側にも生じ,境界は明瞭である。足趾,鼻尖,耳朶,舌などに出ることもある。
❺典型的には三相性だが,第2相や第3相を欠いて,二相性であることもある。
❻持続時間:通常数分から数十分である。
❼自覚症状:冷感,痛み,しびれがある。
❽出現したときに自分でスマートフォンなどで撮影しておいてもらい,受診時に見せてもらう
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