緊急処置
【1】肋間筋や横隔膜の筋力低下・筋萎縮により呼吸機能が低下した場合:呼吸器装着の判断が求められる。
【2】神経変性疾患患者が急変して呼吸困難を呈した場合:その後の呼吸器離脱が不可能となることがありうる。気管挿管や気管切開の前に意思確認が必要。
診断のチェックポイント
●定義:筋肉がやせていること。筋萎縮をきたす病態として筋肉自体の問題であるのか,支配する運動神経による問題であるのかを区別する。筋萎縮の分布が参考となり,原則として近位筋優位であれば筋疾患を,遠位筋優位であれば運動神経の疾患を考える。
【1】病歴
❶筋萎縮による筋力低下が受診理由となることが多く,具体的な症状を確認することで障害部位を推測する(例:ペットボトルの蓋が開けにくい→上肢末梢,階段が登れない→大腿,足先が引っかかる→前脛骨筋,喋りにくい・むせる→球症状)。
❷症状進行のスピード。
❸体重減少の有無・程度(→筋萎縮性側索硬化症)。
❹感覚障害の有無。
❺手首や肘を酷使する職業か(→手根管症候群・肘部管症候群)。
❻肺炎・心不全や手術後の安静の有無(健常高齢者は10日臥床により下肢筋肉が6.3%減少するとの報告もあり,廃用性の要素を確認)。
❼家族歴の聴取(→遺伝性疾患)。
❽筋力低下のことを「しびれる」と訴える患者もいる。
【2】身体所見
❶筋萎縮の分布が近位筋優位か,遠位筋優位か,部分的なのか全身的か。萎縮筋は触診すると軟らかい。
❷舌萎縮・構音・嚥下障害,振戦,感覚障害の有無。
❸上位ニューロン障害では腱反射亢進・病的反射陽性・痙性を示す。下位ニューロン障害では線維束性攣縮を認め,腱反射は減弱。
❹叩打性ミオトニア(→筋強直性ジストロフィー)。
【3】検査:末梢神経伝導検査および針筋電図は重要である。
❶末梢神経伝導検査:伝導ブロックを認めた場合,脱髄性疾患や多巣性運動ニューロパチーを疑う。
❷針筋電図:神経原性では安静時に線維自