診断のチェックポイント
❶腰背部痛の初期診断(トリアージ)
■腰背部痛はきわめてありふれた愁訴である。その多くは保存療法で徐々に軽快するが,まれに生命にかかわる重大な疾患のサインの場合がある。初期診断においては,これらの危険なサインを的確に見きわめることが肝要である。
■初期診断において腰背部痛を3つのカテゴリーに分類(トリアージ)する(表1図)。
❷初期診断においては,カテゴリーAとBの腰背部痛を的確に鑑別し,迅速な検査の施行や他診療科へのコンサルテーションを行う。カテゴリーCの腰背部痛に対しては,運動療法を中心とする保存的加療を行うことと,特に心配する必要のない腰痛であることを適切に患者に伝えることが肝要である。
❸トリアージのためには以下の問診,理学所見・神経学的所見の把握を的確かつ迅速に行うことが必要である。
【1】病歴:腰背部痛の診断において病歴の問診は最も重要な位置を占める。問診によりある程度の病態・疾患を予測することができる。以下に問診のポイントを挙げる。
❶主訴:何が一番困っているのか。
❷痛みの部位:「腰」「背中」といっても,人により意味する部位はそれぞれである。痛みのある部位を指で指し示してもらうとよい。
❸痛みの発症様式:急性発症なのか,徐々に発生したのか。痛みの誘因や前駆症状がなかったか。
❹症状の進行性:増悪傾向か,軽快傾向か,あるいは寛解と増悪を繰り返しているのか。
❺痛みの程度と性状:鈍痛(重苦しい,だるい感じ)なのか,激痛(ズキズキ,刺すような痛み)なのか。
❻安静時痛の有無:重大な疾患の鑑別上重要である。夜間痛の有無についても聞く。
❼運動や姿勢による痛みの有無:どのような動作や姿勢で痛みを感じるのか。
❽歩行障害の有無とその内容:歩行困難になるまでの距離や時間を確認する。
❾随伴症状の有無:下肢痛・しびれ感,膀胱直腸障害の有無についての聴取は必須である。内科疾患などの
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