緊急処置
【1】悪心・嘔吐に加え,意識レベルやバイタルサインに異常を認め,かつ循環器疾患(心筋梗塞),頭蓋内疾患(脳出血・脳梗塞),消化管疾患(消化管穿孔)の存在が疑われる症例は,緊急処置が必要となる場合が多い。
【2】静脈確保,吐物誤嚥による肺炎や窒息の予防のため側臥位とし気道を確保,嘔吐に伴う脱水や電解質異常の補正を行い,バイタルサインを安定させたのちに原因検索を行う。
診断のチェックポイント
●定義
❶悪心とは,嘔吐が起こりそうな感覚,嘔吐とは胃腸の内容物が不随意に逆流し口腔より排出される現象のことである。
❷悪心・嘔吐を認める患者は消化管に異常があるという先入観をもつことが多く,一般内科や消化器内科を受診することが多い。しかし,その原因は消化器疾患のみならず多岐にわたり,時に緊急処置を要する疾患の場合もあるため,消化器疾患と決めつけずに全身症状を把握することが重要である。
【1】病歴
❶症状:悪心・嘔吐のみであるか,随伴する症状(発熱,胸痛,呼吸困難,頭痛,めまい,神経学的異常,頸部のこだわり,胸やけ,心窩部痛,腹痛,腹部膨満感,便通異常,右季肋部痛,黄疸,耳鳴り,腰背部痛,血尿など)が存在するかを聴取する。
❷発症状況の確認:急性発症か慢性持続か,頻度,程度,持続時間,食事との関連(食中毒の可能性),誘因,時間帯など。
❸吐物の性状・量,血液・胆汁・腸液の混入,糞便臭の確認。
❹内服薬の確認:特に最近,新規に開始または増量した薬剤について行う。
❺既往歴の確認:糖尿病,高血圧,脂質異常症,脳血管障害,虚血性心疾患,心房細動,弁膜症,血液透析などの基礎疾患,腹部手術歴,悪性腫瘍の既往など。
❻ストレス,不安,緊張などの心因的要因や精神疾患の治療歴の確認。
❼妊娠可能年齢の女性であれば妊娠の可能性,最終月経の確認。
【2】身体所見:意識レベルやバイタルサインを確認し,緊急処置の必要性を判断する。そ
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