診断のチェックポイント
●定義
❶1日尿蛋白量が150mg/日以上を蛋白尿とよぶ。
❷健常人においても低分子量蛋白と少量のアルブミン(少量ではなく1日200gとする研究もある)は糸球体からろ過されるが,そのほとんどは近位尿細管で再吸収される。健常人の尿に含まれる蛋白は200種類を超え,主要なものを多い順に挙げるとTamm-Horsfall蛋白,アルブミン,免疫グロブリンL鎖(κ),IgGであり,アルブミンは約15~20%である。糸球体疾患では蛋白尿増加とともにアルブミンの占める比率が70~80%以上まで増加する。
❸蛋白尿の分類は,1)一過性蛋白尿,2)起立性蛋白尿,3)糸球体性蛋白尿,4)尿細管性蛋白尿,5)オーバーフロー型蛋白尿,6)腎後性蛋白尿である。
【1】病歴
❶蛋白尿の既往:以前に蛋白尿を指摘されたことがあるか尋ねる。陽性のときの状況が,過激な運動や発熱時であれば,一過性蛋白尿の可能性もある。数か月以上前から蛋白尿が持続していれば慢性糸球体腎炎の可能性がある。
❷肉眼的血尿の有無:IgA腎症では感冒の際に,肉眼的血尿を伴うことがある。
❸薬物服用歴:薬物により二次性の膜性腎症などを発症することがある。
❹既往歴:特に,糖尿病,高血圧,自己免疫性性疾患の有無を聞く。これらの疾患では,腎症を併発して蛋白尿を認めることがある。また,女性の場合は妊娠時に尿蛋白を認めていたかを聞く。
❺家族歴:Alport症候群などの遺伝性疾患もあるので,家族に腎臓病患者や透析患者がいないか尋ねる。
【2】身体所見
❶皮膚:皮疹の有無を見る。IgA血管炎では紫斑を認める。
❷咽頭・扁桃:急性糸球体腎炎では溶連菌感染が先行することが多い。
❸血圧測定:急性糸球体腎炎や慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)では,腎性高血圧になることがある。高血圧腎硬化症によって蛋白尿が出現することもある。
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