正常像
【1】経腹的超音波検査
❶膀胱は骨盤内の正中部に,前立腺は膀胱の直下で同定され,膀胱頂部付近は腸管が近接する。
❷膀胱後面は男性の場合は直腸が,女性の場合は子宮,直腸が同定される。
【2】尿貯留状態で膀胱は観察されるが,膀胱のアウトラインはスムースで,正常では膀胱筋層や粘膜は目立たず,薄い(図1図)。
【3】経直腸前立腺超音波検査:前立腺とその頭側背面にcysticな両側の精囊腺が同定され,さらにその頭側で膀胱が描写される。
【4】前立腺は4つの領域に分類され,そのなかで移行域と辺縁域が観察の中心となる。前立腺肥大症は尿道周囲の移行域の腫大で起こり,癌の多くは辺縁域が母体となることが多い。
検査の適応
【1】肉眼的および顕微鏡学的血尿や尿路感染のスクリーニング,原因検索。
【2】前立腺肥大症をはじめとした排尿障害,下部尿路症状に対して。
【3】前立腺特異抗原(PSA)高値などで前立腺癌が疑われた場合。
【4】排尿後の残尿評価(この場合,保険請求は超音波検査ではなく,残尿測定で算定する)。
所見別の画像診断
【1】膀胱疾患
❶膀胱腫瘍(→)
■筋層非浸潤性の早期膀胱腫瘍は,膀胱内に突出した充実性腫瘤として確認され,腫瘍が粘膜内にとどまり筋層は著変ないことが確認される(図2図)。
■しかし,5mm以下の膀胱癌(→)や上皮内癌の検出は困難である。
■筋層浸潤性の場合は,膀胱内の腫瘤が筋層へ連続した低吸収エコーとしてとらえられ,同時に筋層の肥厚,不整像を認める(図3図)。
■腫瘍部はドプラで血流が確認されるほか,腫瘍の特徴として膀胱内に多発している場合があり,見落とさないように注意が必要である。
❷膀胱結石
■膀胱内に輝度の高い,acoustic shadowを伴う陰影を認める。
■検査中に仰臥位から側臥位などの体位変化により,その陰影の局在が移動することで膀胱結石であることが確信される(図4図)。
❸尿膜管囊胞・尿
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