緊急処置
【1】月経異常で救急処置を要するのは主として強い月経痛であり,救急車で搬送されることもしばしばみられる。
【2】鑑別すべき疾患は多いが,普段から月経困難症があり,炎症所見なく月経開始から月経痛類似の痛みが出現したなら月経困難症を疑う。
【3】救急処置として鎮痛薬の投与を行い,月経困難症ならほとんどこれで軽快する。
診断のチェックポイント
❶月経の成因とその異常
■性成熟期にある女性では妊娠・授乳期を除くと卵巣から周期的に分泌される性ステロイドホルモン(エストロゲン,プロゲステロン)によって子宮内膜が増殖・剝脱を繰り返すことにより,月経が起こる。
■性ステロイドホルモンの分泌は,脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン〔卵胞刺激ホルモン(FSH),黄体化ホルモン(LH)〕によって調節され,性腺刺激ホルモンはさらに上位の視床下部から分泌される性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)によって調節されている。したがって,間脳視床下部,脳下垂体,卵巣,子宮内膜のどこに異常があっても月経異常は起こりうる。
■月経異常には月経が性成熟期女性にもかかわらず欠如する無月経,月経周期の異常,月経血量の異常,月経持続期間の異常,初経や閉経の時期の異常,月経随伴症状の異常などがあり,その原因や診断・治療も多岐にわたる。表1図に正常月経の定義を,表2図に月経異常の分類と定義をまとめる。
❷排卵障害とは
■排卵はFSHの刺激による卵巣内の卵胞の発育に引き続くLHのサージにより起こる現象であり,FSHやLHの分泌障害が起こると排卵障害が起こる。
■多くの場合,排卵障害が起こると月経は不順となる。
■月経は性ステロイドホルモンの消退により起こる現象であるので,排卵がなくても卵胞の発育がみられればエストロゲンの分泌,消退があり,出血が起こることがあり,無排卵性月経とよばれる。
【1】病歴
❶月経の状態について,初経,周期,量,
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