診療支援
診断

婦人科腫瘍に対するPET診断
PET Diagnosis for Gynecological Tumors
中本 裕士
(京都大学医学部附属病院放射線部・准教授)

女性骨盤腔の正常なFDG-PET像

【1】日常診療におけるPET検査は,フッ素-18(18F)標識フルオロデオキシグルコース(FDG)を静注して糖代謝の亢進部位を画像化することにより,病変の効率的な検索に役立つ。

【2】FDGは腫瘍に特異的に集まるものではなく,集積部位が悪性腫瘍として治療を要する病変とは限らない。生殖可能年齢女性の骨盤腔内では,子宮内膜や付属器への集積がしばしばみられ(図1),年齢を問わず大腸を中心とする腸管にも生理的集積を認める。また尿中排泄されたFDGにより尿管や膀胱も陽性に描画される。

【3】子宮内膜は排卵期および月経期に,付属器への集積は排卵期にみられる頻度が高い。

検査の適応

 子宮頸癌・子宮体癌,卵巣癌をはじめとする婦人科悪性腫瘍の転移・再発巣の検索。保険診療としては,悪性腫瘍であれば腫瘍の種類にはよらないが,「他の検査,画像診断により病期診断,転移・再発の診断が確定できない患者に使用する」と限定されている。

婦人科腫瘍のPET診断

【1】子宮頸癌()

❶子宮頸部の原発巣に一致して限局性の高集積を認め,しばしばリンパ節やその他の臓器への転移巣が描出される(図2)。局所の進展はMRIが優れるため,PETには予期せぬ転移巣の検索が求められる。

❷治療後の再発が疑われる場合には,全身の評価が可能であること,形態のみでは異常が認識しづらい病変を拾い上げられることにより,効率よく病変を同定することが可能である(図3)。ただし生理的集積や炎症巣など,悪性腫瘍以外にも集積を認めるため,注意深い解釈が必要である。

【2】子宮体癌()

❶基本的に子宮頸癌と同様で子宮内膜の原発巣に高集積を認めるが,全身評価による予期せぬ転移巣の検出に有用である(図4)。

❷治療後の再発診断では,CT単独では評価しづらい病変の同定や,病変としての活動性を評価する際に役立つ(図5)。

【3】平滑

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