診療支援
診断

広範囲熱傷
††
Extensive Thermal Injury
池田 弘人
(帝京大学准教授・救急医学講座)

診断のポイント

 熱傷患者は,熱傷面積〔%TBSA(total body surface area)〕,熱傷深度,気道熱傷などの合併症,年齢などで重症度が診断できる。

【1】受傷面積の算定

❶多数熱傷患者発生時は,できるだけ現場で迅速に受傷面積を判定し重症度診断を行う必要があり,そのためのさまざまな面積算定法がある。

❷算定法には,1)9の法則,2)小児向きの5の法則,3)年齢別になっているLund and Browderの方法,4)手掌法がある。本人の手掌と指腹を合わせて1%TBSAとする手掌法が最も簡便である。

【2】深度:水疱形成の有無,色調,痛みをもとにした臨床所見から診断する方法が基本である。Ⅰ度,Ⅱ度,Ⅲ度に分ける。

❶Ⅰ度熱傷:表皮のみの熱傷であり,発赤とピリピリした痛みが生じるが,特に治療は不要であり熱傷面積に含めない。

❷Ⅱ度熱傷:真皮層まで傷害されたもので,真皮の浅い部分まで達してい

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