診断のポイント
【1】所見から疑う:口腔・咽頭内の煤付着,嗄声,ラ音聴取など次項に示すような所見から疑うことが基本だが,臨床所見による診断がつきにくいこともしばしばである。
【2】受傷現場の情報から判断する:したがって,まずは受傷現場の情報から気道損傷の存在を疑うことが重要である。室内,車内などの閉所での受傷や,顔面に熱傷がある,火災で煙に巻かれたなどの情報があれば積極的に検査に進む。
症候の診かた
【1】気道損傷を疑う症候:下記のような症候をとらえることが重要である。ただし,これらがなくても気道損傷を否定できるわけではない。
❶顔面熱傷がある。
❷(顔面熱傷がなくとも)まつ毛,眉毛,鼻毛の焼失や焦げがある。
❸口腔内の熱傷,腫脹,嗄声。
❹煤の口腔内・咽頭への付着。
❺煤混じりの痰。
❻むせや呼吸促迫。
❼意識障害。
【2】上気道の損傷
❶気道損傷は,上~下気道までが熱損傷を起こすわけではない。熱い気体の吸入によ