診断のポイント
【1】頭部に対する直接もしくは間接的外力を示す現病歴や診察所見。
【2】症状・徴候が受傷後に出現か悪化。
【3】特徴的な頭部CTもしくはMRI所見(脳振盪を除く)。
緊急対応の判断基準
【1】意識レベルGlasgow Coma Scale(GCS)8以下:確実な気道確保(経口気管挿管)を行い,呼吸・循環の安定をはかり頭部CTを施行する。
【2】脳ヘルニア徴候(瞳孔不同あるいは両側の瞳孔散大,対光反射の左右差,GCSスコア2以上の悪化,除脳・除皮質姿勢のいずれか):直ちに専門医に紹介。
症候の診かた
【1】症状:強い頭痛もしくは2回以上の嘔吐。
【2】バイタルサイン:意識障害を伴う高血圧かつ徐脈(頭蓋内圧亢進によるCushing現象)。
【3】意識レベル:来院時GCS 12以下(15歳以下ではGCS 13以下),もしくは受傷後2時間でGCS 14以下。
【4】瞳孔:意識障害を伴う瞳孔不同(瞳孔径0.5mm以上の左右差)あるいは対光反射の左右差。
【5】頭部の視診・触診:頭蓋骨開放骨折あるいは陥没骨折を疑う所見。乳児では大泉門の緊張あるいは5cmを超える打撲・腫脹・挫創。
【6】顔面の視診:頭蓋底骨折のサインとして,鼓膜内出血,パンダの眼〔black eye(眼窩周囲の皮下出血)〕,髄液耳漏・鼻漏(サラサラした血性の流出),あるいはBattle徴候(耳介後方の乳様突起部の皮下出血)。
【7】神経学的局所症状:片麻痺(意識障害患者では痛覚刺激に対する四肢の運動反応で診断)。
検査所見とその読みかた
【1】頭部CT(脳実質条件)
❶直接所見:高吸収域を示す血腫あるいは出血の形状・場所・大きさをみる(図1図)。
❷間接所見:5mm以上のmidline shift・脳底部脳槽(中脳レベル)の圧排や消失の有無。
【2】頭部CT骨条件または頭蓋骨単純X線(前後像・両側面像・タウン撮影):頭蓋骨骨折の有無。
【3】