交通事故や高所からの転落などによる高エネルギー外傷で頸部に無理な外力が加わった場合に起こる。ただし近年,脊柱管の狭窄を有する高齢者の増加に伴い,転倒などの軽微な外傷で起こる非骨傷性頸髄損傷(中心性頸髄損傷)が増えている。
診断のポイント
【1】頸部の疼痛,圧痛を認める。
【2】四肢の運動障害や感覚障害を生じている。
【3】損傷の程度により完全損傷と不完全損傷に分けられる。
❶完全損傷:運動機能,感覚知覚機能がすべて失われた状態。
❷不完全損傷:一部の機能が残存した状態。
【4】重度の頸髄損傷ではしばしば副交感神経優位となるため来院時徐脈,低血圧を認める。
【5】麻痺の重篤な頸髄損傷では肋間筋の運動麻痺により腹式呼吸を呈する。
症候の診かた
【1】障害の有無の確認
❶各神経支配領域の運動障害,感覚障害をチェックする。
❷完全麻痺のように見えても仙髄機能が残存している場合があり(sacral sparing),会陰