診断のポイント
【1】頻呼吸。
【2】呼吸困難。
【3】不安感。
【4】手足のしびれ。
【5】「助産師の手」。
症候の診かた
【1】頻呼吸:空気が吸えない(空気飢餓感),不安,胸痛,動悸,めまい,嘔気,嘔吐,手足のしびれ,けいれんの症状を伴う。
【2】筋硬直症状(「助産師の手」)が特徴的である。
【3】Trousseau徴候:これは,「助産師の手」の症状のある腕に血圧計のマンシェットを巻いて血流を止めると,「助産師の手」の症状がより出やすくなる所見である。
【4】Chvostek徴候:顎関節を叩くと口唇が上方に上がる所見で,顔面神経が刺激されたことによる。
検査所見とその読みかた
【1】動脈血液ガス分析で,アルカローシス(pH>7.45),低炭酸ガス血症(PaCO2<35Torr),A-aDO2正常。
【2】パルスオキシメータでSpO2>95%。
確定診断の決め手
【1】動脈血液ガス分析で,アルカローシス,低炭酸ガス血症,A-aDO2正常。
【2】肺音で高調性連続性副雑音(wheezes)が聴取されない。
【3】「助産師の手」の症状が出ている。
【4】安心させることで症状が改善していく。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】気管支喘息(→)
❶肺音でwheezesが聴取。
❷高炭酸ガス血症。
【2】肺動脈血栓症
❶低酸素血症。
❷心電図で右心系負荷,四肢誘導SⅠQⅢTⅢ,前胸部誘導T波陰転。
【3】甲状腺機能亢進症(→):血液検査で甲状腺機能異常。
【4】急性冠症候群
❶心電図でST-T変化。
❷血液検査で心筋逸脱酵素上昇。
❸心臓超音波検査で壁運動異常。
【5】気胸(→)
❶肺音の消失。
❷単純X線で気胸の所見。
文献
1)Schwartzstein RM, et al: Hyperventilation syndrome. Post TW, ed. UpToDate. Waltham, MA: UpToDate Inc.
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