診断のポイント
【1】腹腔内出血は腹部外傷による,腹腔内臓器損傷や血管損傷で発生する。
【2】内因性疾患では大動脈破裂や内臓動脈破裂,肝臓癌破裂などで発生する。
【3】診断には超音波検査が有用で,特に外傷ではfocused assessment with sonography for trauma(FAST)によって腹腔内の液体貯留を検索することが必須の検査となっている。
緊急対応の判断基準
【1】腹腔内出血の量と貯留速度によりショックに陥った場合:細胞外液の大量輸液が必要である。
【2】大量輸液でも安定しない場合:輸血と止血治療〔緊急手術や画像下治療(IVR)〕が必要になる。
【3】大量輸液によってショックから離脱できた場合:待機手術やIVRあるいは保存的治療を選択する。
症候の診かた
【1】腹腔内に出血すると,多くの場合,急激な腹痛と腹膜刺激症状を呈する。
【2】血液が貯留した部位に圧痛を認め,腸管蠕動は