本書の前版である第7版は2015年に出版されている。よって前版の発行から今回の改訂までの期間は約5年にすぎないわけであるが,神経・筋疾患領域の進歩は目を見張るものがある。
この分野の診療にあたる医師の多くは神経内科医であり,専門分野名は神経内科である。ところが最近この呼称が変更され,診療科名としては神経内科から脳神経内科と変更された。このことが最大のトピックスとも言えるかもしれない。
他方,本書に掲載されている脳神経内科疾患の診断や治療に関する進歩も著しい。まず,難病とよばれるものが多い神経変性疾患では,Parkinson病への新たな治療法であるレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(デュオドーパ®)による治療が始まり,また本邦で研究が先行するiPS細胞による治療の治験も始まった。また筋萎縮性側索硬化症に対しても,本邦では数多くの治験が始まっている。さらに,脊髄性筋萎縮症へのヌシネルセン,球脊