診療支援
診断

■神経・筋疾患の最近の動向
西山 和利
(北里大学教授・脳神経内科学)


 本書の前版である第7版は2015年に出版されている。よって前版の発行から今回の改訂までの期間は約5年にすぎないわけであるが,神経・筋疾患領域の進歩は目を見張るものがある。

 この分野の診療にあたる医師の多くは神経内科医であり,専門分野名は神経内科である。ところが最近この呼称が変更され,診療科名としては神経内科から脳神経内科と変更された。このことが最大のトピックスとも言えるかもしれない。

 他方,本書に掲載されている脳神経内科疾患の診断や治療に関する進歩も著しい。まず,難病とよばれるものが多い神経変性疾患では,Parkinson病への新たな治療法であるレボドパ・カルビドパ配合経腸用液(デュオドーパ®)による治療が始まり,また本邦で研究が先行するiPS細胞による治療の治験も始まった。また筋萎縮性側索硬化症に対しても,本邦では数多くの治験が始まっている。さらに,脊髄性筋萎縮症へのヌシネルセン,球脊髄性筋萎縮症へのリュープロレリン,重症筋無力症へのエクリズマブ,慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチーに対する免疫グロブリン皮下注射など,難病に対する画期的な治療法も次々と登場している。

 脳神経内科疾患の診断についても長足の進歩を目の当たりにすることができる。ここ数年だけでも多くのガイドラインが世に出ている:「パーキンソン病診療ガイドライン2018」「脊髄小脳変性症・多系統萎縮症診療ガイドライン2018」「ジストニア診療ガイドライン2018」「てんかん診療ガイドライン2018」「単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017」「認知症疾患診療ガイドライン2017」「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017」。画像診断においても昨今の進歩は著しく,Parkinson病ないしはParkinson症候群の診断としてのMIBG心筋シンチグラフィやダットスキャン®は既に標準診療となっており,PET

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