出血性脳卒中のうち,高血圧性脳出血68%,くも膜下出血20%,脳動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)1.6%,その他11%である(脳卒中データバンク2015)。本項では高血圧性脳出血を中心に述べる。
診断のポイント
高血圧性脳出血の場合。
【1】50歳以上。
【2】高血圧。
【3】突発する局所神経症状(半身麻痺,言語障害など)。
【4】頭痛と嘔吐。
【5】画像上の脳内血腫が好発部位に存在:好発部位は被殻29%,視床26%,皮質下19%,脳幹9%,小脳8%,尾状核1%,その他8%。
緊急対応の判断基準
【1】Japan Coma Scale(JCS)2桁以上の意識障害があれば外科治療の可能性あり,脳神経外科に紹介する。
【2】CTなどで多少でもくも膜下血腫を伴う場合は,脳動脈瘤破裂の可能性があり,脳神経外科に紹介する。
症候の診かた
【1】発症形式:高血圧性脳出血では局所神経症状や頭痛・嘔吐が突発する。発症からこれらがピークに達するまでに1~2分以上かかることが多い(具合が悪いと言ってから数分の間に話せなくなり麻痺も明らかになったなど)。
【2】来院時収縮期血圧180mmHg以上が多い。
検査所見とその読みかた
【1】神経学的検査
❶意識障害はJCSやGlasgow Coma Scale(GCS)で評価する。
❷意識,麻痺,失語,半盲などを含めNational Institute of Health Stroke Scale(NIHSS)で総合評価を行う。
【2】脳CT:血腫は強い高吸収域を示す。高血圧性脳出血には好発部位がある(図1図)。
【3】脳MRI:血腫の信号強度は時期と撮像法によって表1図のとおりの所見となる。
確定診断の決め手
高血圧性脳出血の場合。
【1】頭痛・嘔吐を伴う局所神経症状が突発する。
【2】画像上の脳内血腫が好発部位に存在する。
【3】原則としてくも膜下
関連リンク
- 今日の診断指針 第8版/くも膜下出血
- 今日の診断指針 第8版/脳梗塞(ラクナ梗塞)
- 今日の診断指針 第8版/脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞)
- 今日の診断指針 第8版/脳梗塞(心原性脳塞栓症・ESUSを含む)
- 今日の診断指針 第8版/もやもや病(特発性Willis動脈輪閉塞症)
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/6 脳卒中
- 今日の治療指針2023年版/一過性脳虚血発作の内科的治療
- 今日の救急治療指針 第2版/一過性脳虚血発作
- 今日の治療指針2023年版/脳内出血の治療
- 今日の救急治療指針 第2版/脳内出血
- 今日の救急治療指針 第2版/頭部外傷
- 内科診断学 第4版/運動失調
- 新臨床内科学 第10版/1 高血圧性脳出血
- 内科診断学 第3版/脳血管障害
- 今日の診断指針 第8版/くも膜下出血