診断のポイント
【1】6歳,40歳の二峰性の年齢分布,女性に多い,家系内発症が20%。
【2】小児は,過換気後の脱力発作,起床時の頭痛などの一過性脳虚血発作あるいは脳梗塞で発症する。
【3】成人は,一過性脳虚血発作,脳梗塞のほか,頭蓋内出血で発症する。
【4】最近は,無症候性もやもや病が発見されることが増えている。
【5】両側または片側の内頸動脈終末部~前・中大脳動脈近位部の狭窄~閉塞,および異常血管網(もやもや血管)を認める。
症候の診かた
【1】一過性脳虚血発作:最も頻度が高く,約40%を占める。片麻痺や失語などの巣症状が主であるが,小児では起床時の頭痛・嘔吐が特徴的である。
【2】頭蓋内出血:約20%を占める。意識障害,片麻痺などの巣症状を認める。
【3】脳梗塞:約15%を占める。片麻痺や失語などの巣症状を認める。
【4】小児では不随意運動,けいれん発作で発症することがある。
検査所見とその読みかた
【1】脳MRI:T1強調画像にて,もやもや血管が基底核領域の点状または線状の低信号域として描出される。また,脳循環不全の所見として,FLAIR画像にて皮質動脈が大脳皮質の脳溝に沿った線状の高信号域として描出される(ivy sign;図1図)。
【2】脳MRアンギオグラフィ(MRA):両側または片側の内頸動脈終末部~前・中大脳動脈近位部の狭窄~閉塞と,もやもや血管がみられる。簡便かつ低侵襲で,スクリーニングやフォローアップに適している(図2図)。
【3】脳血管撮影:両側または片側の内頸動脈終末部~前・中大脳動脈近位部の狭窄~閉塞と,もやもや血管がみられる(図3図)。
【4】脳血流画像(PET,SPECTなど):脳虚血の診断・重症度の評価に有用である。手術適応の決定,手術リスクの予測,治療効果の判定において臨床的意義がある(図4図)。
確定診断の決め手
【1】小児または30~40歳の若年者に生じた脳虚血症状ま